1.3.2.6ディジタル信号のパラレルとシリアル
 
 
a.パラレル/シリアル変換
 ディジタルデータは多数のビットによって構成され、その各ビットの1、0の状態によって情報内容が明らかにされます。ある瞬間、瞬間ごとに全ビットがどういう表示(1、0)であったかがわからなければ時間とともに変化する情報の表示にはなりません。したがって、ディジタル情報は、多数のビットが並列に表現されるのが基本です。
 各種の装置類で使用されるインタフエースでBCDパラレル、セントロニクス、GP−IBなどは、基本的には、データの並列転送を行っています。
 しかし、データ転送のとき、パラレル情報を1ビットずつシリアルに順次送って受信側で、元のパラレルに戻すことができれば、再現できます。このことによって伝送ラインが1本(チャンネル)ですみます。シリアル変換されることによって、1本のラインにのせる情報が多くなりますから、高速で正確に伝送できる手段が必要となり新技術開発が進められ各種の方法が考えだされています。
 
図1.3.12 ディジタル信号伝送
 
b.シリアル形式
  ディジタル形式の最も基本的なものはNRZ符号ですが、このままでは、伝送路中での波形の歪などで正しく伝わりにくいので、長距離や、高速伝送等に適した各種の方式が考えられています。
  下記は主な例で受信後、元のNRZに戻します。また、モデムとか無線では符号化データをさらに変調して送りだします。
  これに対しディジタル信号を直接伝送路に送り出す方式をベースバンド伝送といいます。実際に、シリアルデータを受信する場合、パルス列だけで送信された条件を判断する必要があります。そのために送信信号にデータの区切りを示す情報やデータの形式等を受信側で判別できるような情報をあたえる必要があります。その方法として特定の文字を送信したり、特定の命令コードを送信します。双方向、多芯線路などでは多くの方式、手順があります。
  本装置ではRS−232−Cインタフェース に準拠していますが、単線伝送で送信機能だけの通信になっています。本装置での伝送条件、方式等はつぎのとおりです
 
転送速度    19200 BPS
データ     8 ビット
パリティ    なし
 
伝 送      ベースバンド伝送(ただし、光変調)
パルス符号形式  NRZ
パルス伝送順序  データ LSB(20)から
データ形式は、NRZ形式でスタートビットをあたえデータの区切りがわかるようになっています。
 例えば、AD変換出力結果が、+2.32V(10011101)とします。
    
図1.3.13 パラレルデータ、シリアルデータ
 
  シリアルデータは連続的なパルス信号でこのままでは、データの区切りがないと認識できません。例えば、下に示す数値は、データの区切りがわかりません。
 
    1010011101110110110111
 
    そこで、スタートビット、ストップビットを付加して伝送します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
図1.3.14 スタートビット、ストップビット
 
シリアル/パラレル変換
受信したシリアル信号は、パラレル信号に復帰させます。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
図1.3.15 シリアル/パラレル変換
 
1.3.2.7ディジタル伝送とアナログ伝送の違い
 
  アナログ伝送は、通信線路の損失が大きいとデータに直接的な影響を受けます。また、ノイズが混入した場合ノイズとともに直接再生します。
 一方、ディジタル伝送は信号レベルが下がっても音質、音量に変化がありません。しかし、伝送路からノイズを受けた場合、通信不能になることがあります。
  金属ケーブル(電線)では、雷等のノイズなどの影響を受けますが光ファイバでは、このようなノイズの影響を全く受けません。また、電線などは電気抵抗があり、負荷が大きいほど減衰します。
  この装置では、ディジタル伝送の方が、音声再生で音質が劣っていますがこれは、伝送路のビット転送速度が遅いためです。ADクロック が低速になるほど音声の再生音が劣化していきます。さらに、高速サンプリング、高速ビットレートの線路であればもっと忠実な再生ができます。
 
ディジタル伝送
 ディジタル伝送は、その信号送信速度は、1秒間当りの転送可能なパルス(ビット)数で表現し単位は[BPS」を使います。
 大量のデータ送信は単位時間に多くのパルス情報を伝送するので高速パルスの伝送しやすい線路、高帯域の高速線路が必要です。ディジタル伝送は、その伝送経路に大きなノイズ等を受けたり、伝送経路の周波数帯域が不充分な湯合は、受信側で波形の認識が困難になったりします。そのために基本的なNRZ方式より伝送につよい各種の形式が考えられてきました。また、各種の変調方式も、必要とする伝送路の距離、速度、コスト等により最適な方式が使われています。
 光ファイバでのデータ伝送は、高速でしかも外部からの電磁波ノイズの影響を受けないので安定に送信ができます。送信側と受信側とが電気的に絶縁できることが大きな利点にもなります。
また、長距離伝送では通常の金属導線に比較し、石英などの光ファイバの場合、信号の減
衰が少なく減衰を補う増幅器等もはるかに少なくてすみます。