3. 分解能について 
 
 AD変換されたデータで、アナログ値を表現するのには限界があります。これを分解能といいます。
これは、AD変換される 2進数のビット数で決まります。図1.3.10 でこの意味を説明ます。
図1.3.10 分解能について
 
 図1.3.10は、ディジタル値2ビット で+10.24Vフルスケールの場合を表したものです。
この例では2 ビット ですから、表現は22 通りですから1ビット の分解能は、
      10.24/4=2.56V
                
 3ビット の場合には、23 通りで10.24V フルスケールの場合1.28V となることがわかります。
このように、ビットの数によりアナログ値の表現力が変わります。したがって、ビット数を大きく取るとアナログ瞬時値をより正確に表すことが可能になります。
 本装置は8ビットAD変換回路になっており、この場合には256通りの表現力があります。
最近では、10ビット、12 ビット または それ以上のビットをもつAD変換回路が使われてきています。
アナログ値の表現力を高く、それだけ ダイナミックレンジが大きくできるからです。
本装置は、AD変換ビットが 8ビット ですから、256通りの表現があります。、
AD変換可能な入力電圧範囲は、−10.24V〜+10.16Vです。これは256で割り切れる値から設定してあります。
 一般の測定器も、このような考え方で1、2、4、8 を基本とした数値を入力範囲にしている場合があります。
±10.24V とすれば、スパン 20.48Vで、
    20.48V/256=80mV
           
 この値がアナログ電圧の表現できる能力で、分解能といいます。上記の例では、80mV未満の変化(桁)は表現できませんから、符号化の結果には、偶然にきまる要素として1ビット あり、この最小ビットがデータ値の確定される誤差となります。
 この最小ビットを LSB といい、逆に先頭(最大)ビットをMSB といいます。このとき先頭ビット(MSB)は電圧信号の極性符号の役割りを果たしていると考えられ上記の例では、「符号+7ビット」と表示されることがあります。
 AD分解能が8ビットのときは256通りの表現ができますが、この先頭ビット(MSB)は、極性符
号として(符号+7 ビット)と表記することがあります。これは、下記のようなビット表示となるためにいわれる表現です。
 
     11111111のとき +10.16V
     10000000 のとき  0.00V
     00000000のとき −10.24V
 
 本装置のように、正負両極性の動作スパンをもつものをバイポーラといいます。
換算式は、下記のとおりです。                 
 (P−128)× 80mV(P:カウント値、1LSB:80mV)
また、これに対し
    11111111を正(または負)だけの信号を上限とし、
    00000000 を 0V と定義すると負(正)極性は、表現できません。
これをユニポーラといいます。
このときの換算式は
  P × 80mV(正のとき)
となります。