1. 電気信号を光信号に変える発光素子(E/O変換)
光通信用発光素子は、光ファイバの低損失波長帯での発光が安定していることが重要です。波長、出力、集光性、変調特性、発光スペクトルなどを考慮して、適しているものを選びます。
現在は、以下にのべる発光素子がよく利用されています。
1)発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)
2)半導体レーザ (LD:Laser Diode)
1)発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)
LEDは出力は小さいのですが直線性がよく安価で寿命も長く、またそのドライブ回路も容易なので、短距離、低中速のデータ通信に多く使われています。
半導体材料にわずかながら不純物を混入すると導体になり、その材料によって P形と N形ができます(N形は負の電荷をもつ電子が動きやすい)。P形と N形を接合しますと、Nから Pへは、電流が流れず、Pから Nへは電流が流れます。Pから Nに電流を流すとその接合付近で電子と正孔との再結合によって光が発生します。これが LEDです。
2)半導体レーザ(LD:Laser Diode)
半導体レーザの”LASER”は「誘導放出による光増幅」という意味で「Light Amplification
by Stimulated Emission of Radiation」から名付けられましたが、コヒーレントな光を出す発振器というような意味にも使われています。レーザは発光ダイオードと原理は同じですが、光がさらに光を放出させる(誘導放出)ことと、光を閉じ込めて外へ出る光より発生する光の方を多くするような工夫をしたものです。そのために発光性の優れた材質、電流の集中しやすい電極構造、光を逃がさないように発光層より低い屈折率の P、N層ではさむ等の工夫をしています。
本装置ではE/O変換素子に発光ダイオード(LED)を使用しています。
仕様を以下に示します。
発光素子 LED
発 色 赤色発光
発光波長(標準) 660nm
順電流 30mA
逆電流 100 μA
順電圧 1.9V(30mA にて)
2.光信号を電気信号に変える受光素子(O/E変換)
光通信用の受光素子は発光素子の発光スペクトルに対応した波長帯域で充分な感度が得られることが必要です。現在は主に以下に述べるものが用いられています。
1)PIN フォトダイオード (PIN−PD:PIN Photo Diode)
2)アバランシェフォトダイオード (APD:Avalanche Photo Diode)
1)PIN フォトダイオード
フォトダイオードも半導体の PN接合によって作られていますが、低圧逆バイアスを印加しアバランシェ効果の起きない範囲で使用する素子です。
動作は発光ダイオードと全く逆でP形領域に光を当てると電子と正孔が対になり、なだれのように拡散し PN接合部まで移動します。それにより PN接合面での電位勾配の相応する電界によって分離し電子はN層に、正孔はP層に移動します。この結果、電圧を発生します。
PIN フォトダイオードは、PN接合間にT層(高抵抗真性半導体)を挟み応答性の改善を行ったものです。低い電圧で動作できるので使いやすく、また直線性も良いので発光ダイオードと組合せて短距離、低中速のデータ通信に使用されています。
2)アバランシェフォトダイオード
半導体の PN接合に大きな逆電圧を印加すると、わずかなキャリア(電子等)の移動により原子の衝突が起こり加速度的に電流が増大する現象が起きます。これをアバランシェ効果といいま
すが、この増倍作用を積極的に利用したものです。半導体レーザの受光素子として長距離、高速データ通信に使用されています。
本装置ではPINフォトダイオードを使用しています。
受光素子(シリコンPINフォトダイオード)
ファイバ結合感度(効率)0.26A/W(λ=660nm)